カレー屋がつくる、スパイス香る手土産。
枚方の竹林から生まれた「枚方メンマ」

京阪枚方市駅から徒歩7分ほど。スパイスの香りが漂う、街の小さなカレー店「スパイス工房 燦」には、ひとつの意外な名物があります。

それが、ラーメン店ではなくカレー屋が手がけた、ちょっとスパイシーな「メンマ」。
実はこのメンマ、竹林整備中に採れる″育ちすぎたタケノコ=幼竹(ようちく)″を使って作られたもの。
つくっているのは、スパイス工房燦の店主であり、カレー職人の東直仁(あずま なおひと)さん。

放置竹林を切り拓き、スパイスを練り上げる――
「働くことは、本気の遊び」と語る東さんは、日々、枚方のまちと自然の中で″おいしい循環″を生み出しています。
今回ご紹介するのは「いらないもの」に価値を吹き込み、誰かに贈りたくなる味に変えていく、東さんの挑戦と物語。
メンマづくりの裏側から、地域への想い、そしてスパイス職人だからこそ生まれた新しい手土産のかたちまで。
思わず誰かに話したくなる「枚方メンマ」の制作秘話に迫ります。


住所:大阪府枚方市西禁野1丁目1-17オーエムビル
営業時間:11:30~15:00/18:00~21:00
定休日:日曜日・木曜日のディナータイム
アクセス:京阪「枚方市駅」から徒歩7分
京阪バス『禁野口』バス停から徒歩1分
駐車場・駐輪場:なし
Instagram:@supaisu_koubou_sun
▼地図ではこちら
カレーがくれた、地域との出会いと竹林への扉

「一人でできる仕事がしたい」
そんな想いから、東さんのキャリアは大きく方向転換しました。
高校卒業後、サラリーマンとして9年ほど勤務。特に飲食とは無縁の業界で働いていましたが「一人で新しいことをやってみたい」と思い立ち、退職。
そこから、まったくの未経験で飲食の世界へ飛び込みました。


最初はカレー屋をやるなんて思ってもみませんでした。カレー自体は好きだったんですけど、商売にするには難しいだろうなと。
でも、料理は全然得意じゃなかったのに、なぜかカレーだけは『おいしい!』って言ってもらえることが多くて。じゃあ、カレーで勝負してみようかなと思ったんです。
なぜかカレーだけは妙に評判がよかったこと、そして、カレーという「自由な表現ができる料理」の奥深さに惹かれ、一念発起することに。





カレーは、万人受けするわけじゃないけど「この人のカレーが好き」と言ってもらえる料理なんです。そう言われるのがすごく嬉しくて。「じゃあ、やってみよう」って思えました。




興味はどんどんスパイスの世界へ。ついにはインドまで味の研究に飛び出します。



インドに行ったんですよ。でもまあ…濃い!甘い!重い!帰りたかったですね(笑)。確認の旅でした。
そんな″確認の旅″を経て、自分のカレーの方向性を確信。帰国後、自身のスタイルを固めていきました。


こうして始まったカレー店では、「どうせなら自分で野菜も作ってみたい」と、穂谷の農家さんの農業研修に参加することに。
地域の土に触れ、農家さんたちとの関わりが深まるなかで、ひょんなことから「竹林整備」という、まったく別のフィールドにも足を踏み入れることになります。



竹、倒すのって楽しいんですよ。なんか、やっちゃダメなことしてるみたいで(笑)
そんな″男子ゴコロ″がくすぐられる竹林整備との出会いが、次なる東さんの活動へとつながっていきます。


遊び心が地域課題に挑む――竹林整備がメンマに変わるまで


「自分のお店で使う野菜を育てたい」
――そんな思いから、枚方の東部地域での農業研修に参加したことが、はじまりでした。ところが、研修先で紹介されたのは農地だけではなく、整備が必要な竹林も。
農業とは別に「おもしろそう」と感じた東さんは、竹林整備のボランティア活動にも参加するようになります。


整備を進める中で見えてきたのは、放置された竹林の現実でした。
手入れの行き届かない山、増え続ける竹、分散した所有権。過疎化も進み、地域の人手不足も深刻です。そんな中、「楽しいからやってる」だけでは済まされない現実にも向き合うようになっていきます。





もちろん“楽しい”だけじゃ続かない。でも、だからこそ形にしたいと思いました。




そんな中……「この竹、何かに活用できないだろうか?」
試行錯誤の末、東さんがたどり着いたのが“メンマ”でした。
メンマといえばラーメンの具というイメージがありますが、実はその原料は若い竹=幼竹(ようちく)。


竹林整備の過程で間引く“食べられない筍”を、美味しく加工して商品にできないか――そんな発想の転換が、メンマ事業の出発点でした。



味のバリエーションも付けやすくて、うちのスパイスカレーにも合う。これ、意外といけるなと思ったんです。
現在では、整備した竹林から筍(ちく)を買い取り、自社で加工してメンマにしています。地域の地主さんとも連携しながら、竹林の美化と経済的循環を両立する仕組みが少しずつ形になってきました。
大まかな流れとしては、このような感じです。


















メンマづくりは、地域の風景を整えることにつながり、誰かの手土産にもなる。
楽しく始まった活動が、地域課題の解決にも貢献し始めています。
↓活動の様子








枚方の″新しい名物″へ。「枚方メンマ」のこだわりの味と製法
「メンマ=ラーメンの具材」という常識を軽やかに超えて、″おつまみ″や″ごはんのおとも″として生まれ変わったのが、この「枚方メンマ」です。
味のラインナップは、スパイス塩・燻製クリームチーズ和え・和風スパイス・中華スパイスなど、全5種。




それぞれの味付けにしっかり個性があり、シンプルな塩味から、洋風アレンジまでバラエティ豊か。とくにスパイス塩メンマは、初めて食べる人に一番人気のスタンダードな存在です。
中でもユニークなのが、燻製メンマやクリームチーズ風味。燻製はお酒にぴったりで、チーズ風味はその意外性から話題性も抜群。どれも“ラーメンの上にのるメンマ”ではなく、″一品料理としてのメンマ″という視点で作られています。


さらに注目したいのは、ドリンクとのペアリング。東さんが独自に開発した、竹炭を使ったクラフトドリンク「黒いジンジャーエール」と合わせれば、まるでバーのような楽しみ方が可能に。竹から生まれる食品とドリンクが、驚くほど相性よくマッチします。





カレーと合わせるというより、ご飯やお酒に合うように工夫してるんです。手間暇かけて、食べやすく、贈りやすくなるように仕上げています。
メンマは2024年に商品化され、クラウドファンディングにも挑戦。「買いたいけれどネットが難しい」といった声もあり、販売方法にも試行錯誤を重ねてきました。
地域のボランティアや竹細工に携わる年配層からの応援も受けつつ、少しずつファンを増やしてきた「枚方メンマ」。
その背景には、竹の可能性を信じる人々の想いと、丁寧な手仕事が込められています。


人気メニュー「枚方メンマ」
地域の竹林整備から生まれた″地元愛のかたまり″とも言える「枚方メンマ」。環境への配慮、地域のつながり、そして何より「美味しさ」にこだわって作られた逸品は、今や″枚方の新名物″として注目を集めています。


枚方メンマ5種コンプリートセット 3,294円(税込)


人気の5種をまるっと楽しめる贅沢セット。初めての方やギフトにもぴったり。食べ比べて、お気に入りを見つけてください。
枚方メンマ和洋中3種セット 1,998円(税込)
食卓が旅する、和・洋・中の風味をセレクト。飽きずに楽しめる組み合わせは、帰省時のお土産やちょっとしたギフトに喜ばれます。
スパイス塩メンマ 648円(税込)


人気No.1の看板メンマ。ピリッと効いたスパイスとほどよい塩味がクセになる、スタンダード商品。
スパイスオイル漬けメンマ 648円(税込)


食欲をそそる香りとジューシーさが魅力。パスタや冷奴にトッピングすれば、いつもの料理がワンランクアップするかも。
燻製メンマクリームチーズ和え 702円(税込)


「えっ、これがメンマ?」と誰もが驚く変化球。チーズのまろやかさと燻製香がベストマッチ。ワインとの相性も◎
和風スパイスメンマ 648円(税込)


だしの旨味と山椒の香りがふわっと広がる和テイスト。炊きたてごはんにのせて贅沢な朝食を。
中華スパイスメンマ 648円(税込)


ごま油と中華スパイスの香ばしさがクセになる一品。ビール片手に宅飲みのおともに最適です。
″贈る″ことが応援になる
枚方メンマはただの「美味しいお土産」ではありません。放置竹林の整備から始まり、地域のボランティアや事業者の手で作られた「未来をつなぐ食」。だからこそ、手に取ってくれた人の「一品」=「一歩」が、自然と文化を守る力になります。
例えば——
・久々に会う地元の家族に。
・宅飲みに持参して、話題の中心に。
・地方在住の友人に、地元・枚方の″今″を贈る。



食べることが、枚方の自然と文化を守る一歩に。
あなたの贈り物が、地域を元気にするかもしれません。
【購入方法】
枚方メンマは、店舗での購入はもちろん、オンラインショップやふるさと納税の返礼品としても手に入れることができます。
購入可能店舗:
・スパイス工房 燦
・THE STORE(枚方モール1F)
・Syuku56(枚方モール1F)
・旬の駅(京都店)
オンラインショップ:枚方メンマ – スパイス工房燦
ふるさと納税:枚方メンマ5種/枚方メンマ3種
店主 東さんからメッセージ


枚方の竹林を、また“きれいな竹林”に戻していきたい。そんな想いを込めて、まずはメンマを食べていただけたら嬉しいなと思っています。
枚方メンマは、地域の放置竹林を整備する中で採れたタケノコを、おいしく加工した商品です。食べていただくことが、自然や文化を守ることにもつながります。帰省のお土産や、宅飲みの一品にもぴったりですよ。
今後は、竹を使ったキノコ栽培(菌床)にも本格的に挑戦していく予定です。青竹チップを使った菌床で、ヒラタケやキクラゲを育てていて、一部はもう形になりつつあります。おがくずや米ぬかの代わりに竹を使えば、輸入に頼らず国内で循環させることができる。そんな仕組みを枚方から作っていけたらおもしろいなと思っています。
ぜひ、ふらっと気軽に、遊びに来てくださいね!
店舗概要
住所:大阪府枚方市西禁野1丁目1-17オーエムビル
営業時間:11:30~15:00/18:00~21:00
定休日:日曜日・木曜日のディナー
アクセス:京阪電車「枚方市駅」から徒歩7分
京阪バス『禁野口』バス停から徒歩1分
駐車場・駐輪場:なし
Instagram:@supaisu_koubou_sun
▼地図ではこちら
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