「気になるあの人はどんな本を読んでいるの?」
枚方市内で活躍するあの人に、好きな本や映画、雑誌、アートなどおすすめの「カルチャー」を教えてもらいました。
推薦してくれるのはこの人!
「枚方 蔦屋書店」文学コンシェルジュ・大江佑依さん
先日、枚方を拠点に活動するバレーボールチーム「パナソニックパンサーズ 」の選手と一緒に、枚方T-SITEを訪れたひらいろ編集部。
取材では、観光サイトひらいろでもコラムを執筆いただいている「枚方 蔦屋書店」文学コンシェルジュの大江さんに、アスリートにおすすめしたい小説2冊、エッセイを1冊をご紹介いただきました。
文学コンシェルジュがおすすめする「アスリートに読んで欲しい本」
今回は、誌面では掲載しきれなかった大江さんのコラムの全文を、おすすめの本と一緒にご紹介します!
●『いっしん虎徹』山本兼一 (著) /文藝春秋
アスリートの皆様は身体のみでなくメンタルトレーニングにも励まれ、日々最高のプレイに備えていらっしゃいますが…本作は、「己に打ち克った」とある職人の物語です。
主人公は、実在の人物・長曽祢興里(ながそね おきさと)。
兜制作に於いて既に名工と名高かった彼は、人生の半ばで
「自身の作った兜を叩き割る刀を作る」と、途方も無い挑戦に燃え始めます。
生涯を己と、そして己の手が生んだ物達といっしんに向き合い続ける「漢(おとこ)」の姿が描かれた、熱い物語。
虎徹が作った刀は、後(のち)に新選組局長・近藤勇の愛刀としても知られる所となりました。作中に登場する(私の思う)名言は、「下手がいい」。
戦いを前にして、心が少し弱くなっていると感じた時に開いて頂きたい一冊です。
●『空の走者たち』山本兼一 (著)角川春樹事務所
1940年の東京オリンピックで銅メダルを獲得したランナー・円谷幸吉と円谷プロの創業者・円谷英二の出身地である福島県須賀市を舞台に、時代を超えた数々の物語が繰り広げられる少し不思議な一作です。
本作で描かれるランナー・円谷の苦悩とは—
複数の時代を行き来し、昔のノスタルジーを浮き彫りにする点は著者・増山氏のお得意とする所。
本来は生きる時代が重ならず、出逢う事の無い人物達が繰り広げる会話の可笑しみも、併せてお楽しみください。
●『遠きにありて』西川美和(著)/文藝春秋
映画監督・西川美和氏によるスポーツ・エッセイ。大のカープファンである氏は、監督作品と同様試合の勝敗より、その中で動くドラマや人間の深淵を見ます。
勝ちが続く選手でなく負のスパイラルに陥ってしまった選手にスポットを当て、
陰のモードにこそ多様なドラマが生まれると仰る彼女。
アスリート達の事を一人の人間として見つめる氏は(私なんかはどうしてもスーパーマンの様に思いがちなのですが…)、選手の人生に深い興味と愛を抱きます。
故に、その眼差しは至極温かいのでした。
枚方 蔦屋書店【文学】のInstagramも要チェック!
枚方 蔦屋書店のInstagramでは、大江さんをはじめとする文学コンシェルジュのみなさんが、イベント情報や本にまつわるコラムを発信中!
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●枚方蔦屋書店
電話番号:072-844-9000
営業時間:1F&3F 7:00-23:00/ 2F 9:00-23:00 /5F 10:00-20:00