「気になるあの人はどんな絵本を読んでいるの?」
枚方市内で活躍するあの人に、好きな本や映画、雑誌、アートなどおすすめの「カルチャー」を教えてもらいました。
推薦してくれるのはこの人!
枚方T-SITE 絵本コンシェルジュ 河本さん
今回は、「枚方T-SITE」の絵本コンシェルジュ、河本さんにコラムを書いていただきました。
絵本「Michi」について
皆様はじめまして。
枚方 蔦屋書店にて絵本コンシェルジュを務めさせていただております、河本と申します。
皆様は絵本を読まれたことがおありでしょうか?
子どもの頃、読んだ、あるいは読んでもらったことがある、という方。
絵本に接する機会がないまま今に至る方。様々だと思います。
そして、「私はもう大人だし、絵本を楽しむ年齢ではないな・・」と思われている方も多いのではないでしょうか。
「絵本」といえばやはり「子どもが読むもの」、と思われがちです。
しかし、絵本は「今現在子どもである人も、かつて子どもだった人も」楽しめる芸術作品なのです。
ですから、今まで絵本に接する機会がなかった、子どもの頃は読んだけれど今は久しく読んでいない、自分の子どもには読み聞かせはしたけれど、自分が楽しむために読んでいたわけではない、という方に、ぜひ絵本を楽しんでいただきたいなと考えております。
さて、今回、ご紹介するのは『Michi』という作品です。
この作品には文章が一切ありません。
絵だけで場面が展開していきます。
文字が読めないお子様、文字が苦手なお子様や大人の方、文字がつらくなってきた大人の方にも優しい作品です。笑
まず、印象的なのは、絵本の表紙が扉になっていることです。
その扉を開いて、主人公と私達が一緒に絵本の世界に入り込んでいくのです。
そして、一本の道を進んでいくと、次のページには、見開きいっぱいに、迷路のような道とそれを取り巻く独特の世界が広がります。
主人公が場面のどこにいるのか、一見しただけではわからない、緻密な背景や人物の書き込み。
一枚の絵画のような美しい絵の中に探し絵の要素も盛り込まれています。
空想の世界の楽しさと、主人公が道を進んでいく様子、その目的やゴールはどこにあるのか、私達は色々と思いを巡らせながらページをめくっていきます。
そして、ちょうどこの作品の真ん中あたりで・・
なにが起こるかは、皆様、この作品を実際に手に取ってみていただけたら、と思います。
そして、この作品、ぜひ、一度裏返してみていただきたいと思います。
そうだったのか!と納得されると思います。
この『Michi』という作品は、まず、著者のJunaidaさんの絵が素晴らしく美しい、ということが最大の魅力です。
独特の世界観には、ファンの方も大変多くいらっしゃいます。
表紙を含め、どのページを開いても、部屋に飾っておきたくなる場面ばかりです。
そして、それ以上に、読む人の心情や状況によって、それに寄り添った読み方ができる、という余白の大きさが作品をより普遍的なものにしているのではないでしょうか。
絵本コンシェルジュMさんの娘さんと『Michi』との素敵なエピソード
枚方 蔦屋書店には、現在絵本コンシェルジュが4人在籍しているのですが、そのうちの一人、コンシェルジュMさんと、この『Michi』とのエピソードは大変印象深いものです。
Mさんの娘さんが進路のことで悩んでいた時、Mさんはこの作品と出会いました。
そして親として、子どもの進む道を応援したい、支えたい、そしてなにより娘さんに、あなたの進む道の先には色々な素敵な世界が待っている、無限の可能性があるんだ、ということを伝えるために、Mさんは娘さんにこの『Michi』を手渡したそうです。
娘さんはとても喜んでくれて、この作品は母娘にとって、かけがえのない大切な1冊となったのです。
そして、今、娘さんは自分の進む道を信じて進んでいかれている最中です。
きっとこれからも、年を重ねていく中で、様々な場面で道に迷うこともあると思います。
勉学、仕事、人間関係、子育て、家族の問題・・でも、きっとMさんの娘さんはお母さんの『Michi』に込められた想いを支えに乗り越えていかれるのではないかと思います。
しかし、考えてみれば、道に迷っているのは、なにも思春期の子ども達だけではありません。
私たち大人も、選択に迷い、どこに向かっているのか、先にはなにが待っているのか、不安で自分のいる場所がわからなくなることはないでしょうか。
そんな時、絵本の扉を開けば、そこにしかない世界が広がっている。
その中に入ることによって、少し立ち止まってみる。一息ついてみる。
そんな時間をつくってみるのはいかがでしょうか。
絵本を開く時間が、日々の生活の中に余裕と豊かさを生むきっかけになるのではないかと思います。
もちろん、この作品はそんな大人だけではなく、子ども達にも、探し絵の楽しさ、空想の世界に入りこむわくわくドキドキを感じさせてくれます。
文章がないおかげで、どのようなお話でも作ることができますし、それに正解も間違いもないのです。
親子で、たっぷりと「絵を読むこと」を楽しみながら、ページをめくっていくことができる、美しくも懐の深い、そして長い人生において何度も何度も楽しめる作品です。
クリスマスのプレゼントにも最適な、コンシェルジュ、イチ押しの一冊です。
現在、枚方 蔦屋書店には絵本コンシェルジュが4人在籍しており、皆様と絵本をおつなぎするお手伝いをさせていただいております。
お子様に、ご友人に、そしてご自身に絵本を選びたいけれど、どれがいいのかわからない、そんなときはぜひ、ご相談ください。一緒にお探しいたします。
そして、「今現在子どもの人にも、かつて子どもだった人にも」絵本のある生活をご提案いたします。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ぜひお店にもお立ち寄りください。
スタッフ一同、皆様のご来店をお待ちしております。
枚方T-SITE 河本