好奇心と遊び心を忘れない!カメラマン「写真のらがー」井上嘉和さんってどんな人?【HIRAKATA CREATORS&ARTISTS FILE Vol.1】

大阪府枚方市にゆかりのあるアーティストやクリエイターに焦点を当て、生き方や仕事、作品へのこだわりや思いについてお伺いする連続インタビュー企画。

第1回目のゲストは、枚方市駅前で写真屋「写真のらがー」を営む、カメラマンの井上嘉和(いのうえ よしかず)さんです。

井上さんは、枚方市駅前で50年近く営業する写真屋「写真のらがー」2代目代表。日本写真映像専門学校を卒業後、お店の手伝いをしながらクラムボン葉加瀬太郎さんなどの多数ミュージシャンのライブや劇団の舞台など様々な人や場を撮影。写真屋を拠点に出張撮影に出るスタイルで今に至ります。また、節分に子供を驚かせるために始めたという「ダンボールお面」アーティストの一面も!

今回はそんな井上さんのお仕事や考え方、作品について、そして枚方の好きな場所などについて、ひらいろ編集部がたっぷりお話を伺ってきました。

目次

【ABOUT】井上嘉和/Yoshikazu Inoue

枚方市生まれ、枚方市在住。枚方市駅前の写真屋「写真のらがー」カメラマン。スタジオ撮影、企業や学校などの出張撮影、インタビュー、ライブや演劇撮影を行う。ダンボールお面アーティストの一面もあり、ダンボールを用いた子供向けワークショップやイベントなども行っている。

カメラマンのお仕事について

まず、井上さんの肩書きを教えてください。

カメラマンです。

ー写真家などではなくあえて、カメラマン?

そうですね、意図的に写真家とかフォトグラファーっていう言葉は避けています。

僕の場合は、どちらかというと「自分で撮る」というより、依頼があった上で誰かの写真を撮るっていうことが多いので。

「写真のらがー」でカメラマンをずっとやってるんですけど、昔からライブや舞台が好きで、よく外に出てアーティストのパフォーマンスを撮影してきました。それは、ライブや舞台を撮る、被写体ありきの撮影なんです。

つまり、僕自身が創造して撮影するというのではなく、ありのままを受け取る仕事をしているというところで、写真家ではなく、カメラマンという表現を意識しています。

ー井上さんの普段のお仕事について教えてください。

父親が約50年ほど前に立ち上げた「写真のらがー」といういわゆる”まちの写真屋”を、若い頃から手伝ってました。

撮影はスタジオにとどまらず、枚方市内外の幼稚園に行ったり、学校に行ったり、枚方の企業さんのお仕事をさせてもらったりと、ずっと続けています。それに加えて、個人的に好奇心が強い方なので、興味あるところに行って写真を撮るということを若い頃からずっと続けている状態ですね。

ー枚方での撮影を拠点に、様々な場所での出張撮影もされているのですね。今はお店を引き継がれたのですか?

数年前に父から受け継いで、今は僕が代表です。お店の手伝いをずっと続けながら、自分の好きなライブの撮影に行くっていうのをずっと続けているという感じです(笑)

中の仕事と外の仕事が両方あることでリスクヘッジしているところもありますね。

普段の活動場所

ー普段はこの枚方市駅前のお店にいらっしゃるのですか?

ここのスタジオでも撮影しますし、出張撮影もします。

出張撮影は幅広くて、例えば七五三やお宮参りなど家族の記念写真で神社やお寺に行ったり、大学のパンフレットやwebサイトに使うような写真、企業のインタビュー、雑誌の撮影なんかも多いですね。本当にいろんなところから依頼をいただきます。

でもベースとしてこのお店があることで、自分として帰る場所があるというか、どこに行っても戻るべき店があるというのは安心感があります。

数年前おしゃれな店舗に全面改装。大通りに面した店頭の家族写真ギャラリーは、通る人の目を引きます。

今のお仕事に至るまでの経緯や職歴

ー学生時代はどのように過ごされましたか?

大阪市内の天王寺の方にある工芸高校っていうデザインの学校に通っていました。でも実は、その高校に通っていたときに病気しちゃって、まるまる1年間入院してしまったんですよ。

体調が良くないときもあったのでまずは家の手伝いが安心かと考えました。なので高校卒業後は日本写真映像専門学校に進学しました。ちなみに奥さんとはそこで出会いました。

奥さんの井上あゆみさん(左)と井上嘉和さん(右)

ーあちこちからお仕事依頼があるのは、その時のつながりもあるのでしょうか

20代のころはよくクラブに行ったり、ライブハウスに行ったりしてとにかくあちこちで遊んでいて、そのときによく一緒に遊んでいた友達が今30歳、40歳になって、それぞれいろんなポジションについて、そういや井上って写真やってたな!みたいな話で旧友から依頼をもらうことも多いです。

人生のターニングポイント

ー人生のターニングポイントは?

特に自分の中で影響があったのは、「劇団維新派」という劇団の舞台の撮影をしたことですね。維新派は代表が亡くなったタイミングで解散してしまったのですが「維新派を撮っているカメラマン」ということで、舞台関係の方からすごく信頼していただけていろいろ撮らせてもらう機会がグッと増えたなぁと思います。やっぱり実際に撮影した写真を見てもらってよかったら次の仕事が来るという感じでした。

また、学生時代に病気で入院したことも一つの契機でした。当時は辛かったけれど、入院していた期間の遅れを取り戻したい気持ちが自分を奮い立たせたり、妻と出会えたり、今につながる仲間と出会えたので今は良かったと思います。たくさん遊んだこともよかったのかも(笑)

ーコロナの影響はありましたか?

めちゃめちゃありましたね。やっぱり舞台関係は軒並み中止・延期で、本当にアーティストのみなさんは辛い思いしているのを肌で感じています。

でもコロナになったせいなのか、家族写真の撮影依頼は増えているような印象があって。やっぱり今は家族でしか集まれない状況になっているじゃないですか。外にも遊びにいけないし、より意識が家族にいっているのかなと。

その中で、今家族写真撮っておこうか!っていう気持ちになるのかと思うと、それは良かったことかも知れません。

写真を撮る上で大切にしていること

ー大切にしていることを教えて下さい。

写真を撮るとき大切にしていることは、自分を押し付けないで、相手から引き出すこと。

例えば家族写真は家族らしさが残るように、あんまり無理やりポーズを付けることはしないですし、服装も貸衣装ではなく普段着で撮るようにしています。その方が10年20年後にその家族写真を見た時に、絶対自分の普段着てた服とか靴とか見たらすごいグッときちゃうとかあるんで!俺こんな服着てた!とか、この子ずっといつもこればっかり着てたなぁ!とかそういう気持ちになるんですよ。

あんまり自分を押し付けないっていうのはどんな撮影でも大事にしています。何を求めていて、どうして欲しいのかを考えて相手から引き出したいというか。

右奥の部屋がスタジオ

今後の展望・やりたいこと

ー今後はどうなっていきたいなどありますか?

いまだに写真上手くなりたいっていうのが常にあります。まだまだ写真下手くそやなって。もっとこうしたらよくできるなぁと、常に意識していますね。

19歳で写真学校に行って、今カメラマン歴が25年くらいなんですが自分が80歳くらいまで生きるのかなぁって思った時にまだ折り返しで25年以上写真やれる!って思うと、まだまだ伸び代があるなって思います。

ー技術も進化していきますもんね。

そうそう。やることも増えるし。いまだに新しいソフトが出たらちょっと試してみようかとか思いますよね。

好奇心が旺盛で見たことないことや聴いたことがないことにすごく興味があります(笑)。 そういう意味で新しい表現やチャレンジしているアーティストにすごく惹かれて撮りたいといつも思っています。 あと撮りたい人とは違いますが撮影している年上のアーティストや作家が常に新しい表現にチャレンジしていてそういう人たちの背中を見ていると僕もまだまだ頑張れるな!と思います。

ダンボールお面について

ーお面を作り始めたのは何のきっかけがあったんでしょうか?

もう9年、10年ぐらい経つのかな?節分の日に、お面を被って子供を脅かしてやろうと思って、仕事場にあった段ボールで鬼のお面を作って、被って帰ったんです。

ーそこから始まって毎年続けられて?

そうですね。SNSにあげたら、なかなか評判がよかったんです!

そしたら、「来年は何作るの?」って言われ続けて、もう降りられないレールに乗ってしまったかなぁ・・・って(笑)

grafっていう中之島にあるお店でさせてもらったのが最初のワークショップで、それがいきなりちちんぷいぷいに取材されるっていう!枚方T-SITEでもよくワークショップをさせてもらいました。

ワークショップで子供達が作ったダンボールお面

ーこれはもう、仕事の一つという感覚ですか?

ちょっとずつ仕事になってきちゃったなぁっていう感じです。去年は渋谷西武のエントランスでディスプレイのお仕事をさせてもらったりしました。

ー遊び心がすてきですね!ちなみにもう井上さんの子供さんは慣れてしまいましたか?

男3兄弟なんですけど、上のお兄ちゃんたちに「もうお父さんのお面は怖くないよねー」みたいな話をされたのにカチンときて!

ちょっと怖い方向にシフトしようかなぁと思って、作ったのがこちら・・・!!

怖いお面にシフトした時の写真。妻あゆみさんが撮影。

お兄ちゃんも怖がっていたけど、一番被害を被っているのが一番下の子です(笑)

(こ、こわすぎる・・・)

今後のイベント、展示会の予定

2022年2月に東大阪市文化創造館という施設が新しくできて、そこでお面のワークショップをする予定です。

世の中のお父さんお母さん、節分のネタ切れしていませんか?!
年に1度、恵方巻を食べる日として定着してしまった節分を、今一度季節を感じ、家族で一緒に楽しむ一日にしませんか?もちろん、大人の方も大歓迎!
自分にぴったりの鬼の面で、季節の移り変わりを楽しみましょう。

枚方歴、関わり

ー井上さんは枚方出身ですか?

生まれも育ちも枚方です。生粋の枚方っ子なんですけど、撮影や仕事で外に出てばかりっていう(笑)

枚方を題材にした作品

ー枚方を撮った写真はありますか?

枚方って、冬に花火があがるじゃないですか。その時に交野山(こうのさん)から望遠カメラを使って枚方の夜景をバックに花火の写真を撮ろうと思って撮影したのがこれです。

枚方の夜景と花火を一緒に撮るっていうのをやってみようと思って、撮ってみました。去年の冬です。

花火って普通は真っ暗なところで、下から撮ることが多いと思うんですけど、花火を上から撮るという!

枚方作品:枚方の夜景とサプライズ花火を交野山から捉えた写真】

枚方の好きなお店・場所

やっぱり枚方T-SITEは好きですね。

最近は「Hirakata NightRun & Music CLUB」っていうイベントにもよく参加しています。

普段は独りで結構走っているんですがそのイベントに行くと、情報交換ができるのが楽しいです。この靴いいっすよ!とか専門家の知識が聞けて、やっぱりみんなで走ると楽しい。

ー毎日走っているんですか?

毎日10キロ走ってます。今年で走り始めて3年目なのかな。やっと気持ちよく走れるようになって、なんか楽しくなってきて。

ちょうど10キロで1時間くらいなんですが、考え事できる時間が増えるというか。うちは子供が3人いるので家もずっと騒がしいんですよね。でも外に出てしまえば絶対一人になるので、そういう意味で完全にひとりになる時間を作れるっていう意味で、ランニングはすごくいいですね。

ーなぜ走ろうと思われたのですか?

数年前に北大阪で大きな地震あったじゃないですか。その年は台風もあったし。

その時に自宅のマンションのエレベーターが全部止まっちゃったんですよ。上層階に住んでいるんですが、その時階段で荷物を運んでいた時に自分が体力がないと危ないって思ったんです。自分の体が思うように動かないことへの危機感というか。

もともとカメラマンなのでそれなりに重いものを持ったり動かすことはずっとやってきているんですけど、それでも走るっていうのはぜんぜん違って。自分の時間を作るためもあるけれど、やっぱり家族のために体力を付けないと、って思ったのがありました。

ー最後に一言お願いします

常に新しいことにチャレンジして、成長していきたいですね!

ー井上さん、楽しいお話をありがとうございました!

【ABOUT】井上嘉和/Yoshikazu Inoue

枚方市生まれ、枚方市在住のカメラマン。枚方市駅前の写真屋「写真のらがー」でのスタジオ撮影、企業や学校などの出張撮影、インタビュー、ライブや演劇撮影を行う。ダンボールお面アーティストの一面もあり、ダンボールを用いた子供向けワークショップやイベントなども行っている。

写真のらがー」店舗概要

住所:大阪府枚方市岡東町17-5
電話:072-844-4800
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日曜日
写真のらがー公式サイト:https://www.ruggerphoto.net/
井上写真事務所公式サイト:https://www.photoinoue.com/
Twitter:https://twitter.com/inoue_yoshikazu

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