シェア型本棚で個性があふれる、憩いの本屋さん
まとも書房は、京阪枚方公園駅から徒歩3分ほどのところにある長屋つぎのひに入居している小さな書店。2025年7月13日にオープンしました。

本棚がたくさん並んでいますが、よく見ると並べ方や置いているものもバラバラ。それもそのはず。
実はここは“シェア型書店”というスタイルで運営している本屋さんなのです。


本棚スペースは、本以外でも、基本的にどんなものを置いても大丈夫。棚主さんの個性があふれるスペースがずらりと並んでいます。

お店は靴を脱いで上がるスタイル。長屋の雰囲気をそのまま生かした畳の空間では、その場で本を読んだり、おしゃべりしたり、棚を借りられている方がイベントを開催したりもされています。

こちらが店主の久保一真さん。自身も作家・哲学者でもあります。
そんな久保さんが、どういった思いで個性的な本屋さんを作られたのでしょうか。お話をお聞きしました。

住所:大阪府枚方市枚方元町4-70 白-2
営業時間:10:00〜18:00
営業日:水・木・金・土 (不定休あり)
アクセス:京阪枚方公園駅 東出口から徒歩約3分
駐車場:なし
駐輪場:数台分あり
公式サイト:https://matomo-shobo.com/
Instagram:@matomoshobo
▼地図ではこちら
ひらガール本棚ひとつひとつに個性があふれていて、眺めるだけでも楽しいです!
長屋を知ったきっかけ
まずは久保さんが長屋を知ったきっかけをお聞きしました。
「知ったきっかけは、鍵屋別館でチラシを見かけたことでした」


鍵屋別館の1階にある「ひねもすパン」に置いてあったチラシが目に入った久保さん。以前から本屋をしたいと思っていました。
「家からも駅からも近く、何より“なんだか面白そうなことをやっているなぁ”と思ったので、すぐに連絡を取ったんです」


こうして長屋の住人となった久保さんは、あっというまに長屋の中心人物のひとりとなっていきます。



ちなみにそのチラシは最後の一枚だったので、もし無くなっていたら、いま頃はまだ本屋をしていなかったと思います。
お店をはじめたきっかけ
本屋を始める前、まとも書房は2024年2月にまずは出版からスタートさせます。


出版をスタートさせた理由は、“自身が有名人や有名作家でなくとも発信したい”ということと、同時に“一般の人々の中から面白い発信をしている人を紹介したい”という思いからでした。そうした人々のプラットフォームとなるべく、出版社を始めた久保さん。
現在は久保さん自身の著書が一冊と、翻訳本が一冊。今後も出版予定の本があり、現在準備中なんだそうです。


さらに出版活動をする一方で“本に触れる機会を増やしたい”、“居場所となるような場所を作りたい”という思いから、本屋としての「まとも書房」を2024年7月13日にオープンさせました。


ここでは、表現する人同士でコミュニケーションが生まれ、交流できるような場を作りたい。そんな願いが込められています。



棚を借りてくださる方々が、自分の個性を表現できる場にしていきたいと思っています。
「まとも書房」の意味とは
気になるのはお店の名前。個性の強さを感じるまとも書房さんですが、どういった意味が込められているのでしょうか。
そこには、“まとも”と“普通”という二つの言葉の考え方がありました。


「“普通”という言葉は、みんなこうだよね、世間一般ではこう考えているよね、といった抽象的で自身の意思が込められていない言葉だと思うんです。一方で“まとも”という言葉は、自分にとっての“まとも”。世間にどう言われようが、自分はこう思う、こうするべきだといった信念が込められたニュアンスだと思ってるんです」
と、久保さんは言います。


出版社としても本屋としても“普通”を発信するのではなく、“まとも”を発信するプラットフォームをつくりたい。その思いから「まとも書房」という屋号が名付けられました。



「まとも出版」という案もあったんですが、本屋もやりたかったため、両方に対応できる言葉として「まとも書房」にしました。
まとも書房の特徴・こだわり
シェア型書店というスタイル
まとも書房は一般的な本屋さんと違って“シェア型書店”と呼ばれるスタイルを採用しています。
棚を借りれば好きに本を置くことが出来るので「本屋の中に本屋がある」といった雰囲気だと久保さんは言います。


そして他のシェア型書店と比較して、ひと棚のサイズが1.5倍から2倍と大きく設定しているのも特徴。これによって本だけでなく、雑貨なども置くことが出来るので、表現の自由度が非常に高くなります。


たとえば雑誌のような大判サイズのものや、交換日記を置いている人もいます。
普通サイズの棚ならそれだけで埋まってしまうことが多いなか、まとも書房の棚であれば、ほかのものと合わせて展開できたりもする。そうやっていろんな形で表現してもらえるのが特徴です。








棚貸しはあっても、こういった何でも置いてOKというスタイルはなかなか無いようで、わざわざ東京から棚を借りに来られた人もいるほどなんだとか。



「東京からきました」とトランクを担いで持って来られた時は驚きました。
棚のレンタル料は月額3,000円。
販売手数料や登録料はかかりません。初月はなんと50円と超親切設定。試しに売ってみたいという方はぜひ借りてみてはいかがでしょうか。


畳スペースではイベントも
店内には畳の空間があり、靴を脱いでくつろぐことができます。現在工事中の2階も完成すれば、そちらの畳スペースでもイベントが可能に。
さらに、棚を借りられている方は、まとも書房で自由にイベントを企画・開催することができるんだそう!1階や2階のスペースが利用可能で、しかも使用料はかからないんだとか!
これまで既に、フリーアナウンサーによる朗読劇、漫画家による4コマ漫画講座、オイルインクアートのワークショップ、哲学書の読書会、映画の鑑賞会など、様々なイベントが。
2階が完成すれば、週に1回程度のペースでイベント開催を目指しているんだそうです。





“まとも”な個性がぶつかり合う「本屋のデパート」みたいな場所になっていってます。
久保さんの著書・訳書をご紹介
自身も作家・哲学者とした本を出版している久保一真さん。ここではホモ・ネーモ名義でまとも書房から出版された本2冊をご紹介します。
⚫︎14歳からのアンチワーク哲学 -なぜ僕らは働きたく無いのか?-


久保さんは、ご自身を“兼業無職”とおっしゃっていて、そのほかにも作家・哲学者、ブックバザール主催、副業で本屋・出版社運営と、様々な活動をしています。
そんな久保さんのテーマ。それは“労働排絶”。
「基本的に僕は“この世界から労働を排絶したい”と思っている人間なんです」とおっしゃる久保さんは、哲学者として“アンチワーク哲学”を提唱。労働とはなんなのかを、あらためて問いただします。
本の内容は対話形式で展開され「労働なんか世の中からなくなってしまえばいい」と主張する哲学者のおじさんに対して少年が「それじゃ世の中成り立ちませんよ」と返すことから始まっていきます。
「労働ってそもそも何だろう」「労働のあり方はこのままでいいのか」「社会の仕組みやお金の仕組みって本当に正しいのか」「人間にとっていいものなのか」といった常識を次々と問いかける哲学者。
「読み終える前と、読み終わった後では世の中の見え方がガラッと変わる」そんな評価をいただいているそうです。
対話形式なのですらすらと読めて、久保さんの言う“普通とはなにか?”、“ まともとはなんなのか?”ということの真意が伝わってきます。





哲学の原点は対話です。その対話がなされるきっかけを起こせていけたらと思っています。
⚫︎労働廃絶論


こちらは久保さんによる訳書。
世界一誤解されているテキスト(?)であるボブ・ブラック『労働廃絶論』が分かりやすい現代語訳に! 理解を助ける解説文とセットで!
難解な哲学書ではなく、労働のない新しい時代を切り開く希望の書! (Amazonより引用)
久保さんが提唱する“アンチワーク哲学”を知る上で欠かせない一冊です。
今後、長屋でしたいこと
最後に、今後この長屋でやってみたいことをお聞きしました。


「実は今年2025年6月にニッペパークで枚方ブックバザールというイベントをしました。そのときに60以上のブースを募集したんですが、埋まったんです。そのときに、出店の機会を求めている方がとても多くいることを知りました」
そんな久保さんは「みんなで居場所を作っていく」場として、この敷地内でテーマを絞った夜店イベントをしていきたいとおっしゃいます。
「10組から15組程度の規模で、毎回テーマを決めて開催したいと考えています。古本やZINEに特化したイベントとか。ここで交流の場が広がることを期待しています」
ちなみに取材時はなんと棚スペースは全部埋まっていて、募集はストップされていました。今後棚を増設したら、また募集を再開するそうです。


こういった機会を求める方が、まとも書房を通して交流を広げられるといいですね。
代表・久保一真さんからメッセージ


個性あふれる人たちが、気兼ねなく交流出来る場所を作りました。もちろん、のんびり本を読んで過ごしていただくのも大歓迎です。面白いことが好きな人はぜひ一度来てみてください。
店舗概要
住所:大阪府枚方市枚方元町4-70 白-2
営業時間:10:00〜18:00
営業日:水・木・金・土 (不定休あり)
アクセス:京阪枚方公園駅 東出口から徒歩約3分
駐車場:なし
駐輪場:数台分あり
公式サイト:https://matomo-shobo.com/
Instagram:@matomoshobo
▼地図ではこちら
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