Sloth /スロウス

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「今日は、がんばらない」のんびりを求めて人が集まる本屋さん「Sloth」

京阪枚方公園駅から徒歩で約5分。鍵屋別館の2階に佇む小さな書店「Sloth(スロウス)」は、2025年1月11日にオープンしました。

お店の目じるしは、このゆるかわなナマケモノのイラストロゴ。
ちなみに“sloth(スロウス)”は動物の「ナマケモノ」、そして「怠惰」という意味の名詞でもあります。(英語でもそのまんまなんですね!)

中に入ると本がずらり。
基本は新品の本を扱い、話題作からマイナーなサブカル本まで、さまざまなジャンルが並んでいます。

「本は装丁と手触りで選んでいます」
そうおっしゃるのは、店主の髙村嘉一さん。

不思議と目を惹き、心惹かれる本がたくさん並んでいるのは、そのためかもしれません。

小さい書店ながら、マンガも取り扱っています。

店内にはイスも用意されていて、のんびりと本を読んだり、店主とおしゃべりをして過ごされる方もいらっしゃるのだとか。

そんなお店のキーワード。それは「今日は、がんばらない」。
自分に向けて、「たまにはちょっと休んだらどう?」と思ったら、ここに来てゆっくり過ごす。そんな場所となることを目指されています。

今回はそんな、のんびりと過ごせる小さな本屋さん「Sloth」をご紹介します。

Sloth

住所:枚方市堤町10-24 鍵屋別館201
営業時間:11:00〜18:00
営業日:基本 水・木・土 (不定休あり)
アクセス:京阪枚方公園駅から徒歩約4分
駐車場:近くにコインパーキング有り
駐輪場:有り
Instagram:@sloth_booksss

▼地図ではこちら

場所は鍵屋別館2階に上がってすぐのところ

枚方公園から淀川河川敷方面に歩いて約4分のところにある鍵屋別館は、さまざまなお店や会社が入っているユニークな建物です。

目指す本屋Slothに行くには、入り口すぐ横にある階段から2階へと上ります。

上るとすぐに見えるのが、今回ご紹介するSlothです。

開店までに1年半。家族との時間を優先して

オープンされたのは2025年の1月11日。折しも大安の日。けれどその縁担ぎとは裏腹に、開店に漕ぎ着けるまでには、実に約1年半もかかったそうです。

髙村さんはこう言います。
「お客さまにはいつ開くん? って思われていました。何度来ても一向にオープンしないので、本当に開くのかと心配されて。そのことは未だに言われますね(笑)」

けれど理由がありました。それは、家族との時間を優先するため。
そしてそれは、Slothを始めようと思ったきっかけとも大きく関係することでした。

「もともと父親の会社でサラリーマンとして働いていて、会社も引き継ぐ予定だったんです。それでもう翌月には社長になるぞっていう手前になって僕、突然倒れたんです。それでそのまま危篤状態になりました」

生死を彷徨うも一命を取り留めた髙村さん。
ですがこの、死に直面した経験によって“このままの生き方じゃだめだ”と強く思い至り、自分自身を大きく見直すことになりました。

結果的に会社を継ぐことは辞めた髙村さん。考えた末に本屋を始めようと動き出しました。
けれど、今度はご家族がとある問題を抱えます。そんな時に髙村さんは「今こそ家族のことをちゃんと見直そう」。そう思い、家族との時間を優先させます。

「もともと仕事一筋で家族を顧みない働き方をしていて、結果的に死にかけました。で、その療養中はずっと家族が世話をしてくれたんです。だから、今度は自分が家族に対して向き合う時やなと思いました」

開店準備は延期。けれどオープンできないその1年半は、髙村さんにとってかけがえのない大切な期間だったのです。

髙村さん

「今しかない」という気持ちで家族との時間を優先した結果、お店のオープンが後回しになってしまいました(笑)

本屋を始めようと思ったきっかけ

意識を失い危篤状態になったことが最大の転機だったという髙村さん。一命は取り留めたものの回復までには数年を要し、長期の休暇を取らざるを得ない状況に。この時期に、自分自身が本当に望んでいることとも向き合うことになりました。

「病気を経験してからは“ゆっくり動いていきたい”、“のんびりしたい”という気持ちが日に日に強くなっていきました。そこで気付いたのは、自分は本来のんびり屋で、一人で過ごす時間が好きなんだと再認識したことです。 サラリーマン時代は社交的に振る舞っていましたが、それは仕事上の役割であり、本来の自分ではなかったんです」

無理をしていたことに気付き、少しずつ本当の望みに気付いていった髙村さんは、その中でふと“自分の好きなものって何だったかな”と考えます。

「思い起こせば小さい頃からマンガがすごく好きだったんですね。それなら“好きなものに囲まれて、のんびり過ごせる本屋さんを作りたい”と思い、それで本屋を始めることにしました」

自分の時間を取り戻す過程で見つけた“のんびり過ごす本屋”というかたち。
その思いはまさに「Sloth=ナマケモノ」というシンプルなネーミングにもあらわれています。

髙村さん

ゆっくりとした時間を過ごしたいと、勢いだけで始めました(笑)

お店のこだわりは「敷居の低い本屋さん」

「ある程度の新刊はチェックしているけど、基本は直感で買っています」という髙村さん。

ミステリーも取り揃えています

Slothに置いているのはほぼ新品の本。
新品の本が醸しだす雰囲気や匂い、そしてパッと光るような元気な感じが好きで新品を扱っているんだそうです。

「僕自身がそんなに本に関する深い知識を持っていないんで、最近本を読み始めた方とか、あまりこだわりがない方でも来てくれたら全然いろいろ話しますよ」という髙村さん。

本との出会いはタイミング。お客さまが“買うつもりじゃなかった本”や“普段読まないジャンルの本”を見つけて、それが思わぬ一冊になったりしてもらえる。そんな出会いが出来るよう、とにかく敷居は低くしたお店づくりを考えられたそうです。

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店内には「おすすめの本を書くノート」も。

自然と集まる、安らぎを求めに来るお客さまたち

そんなSlothには、のんびりした雰囲気に惹かれて入られるお客さまや、毎週訪れる中学生、そして心に安らぎを求めに来られる方が多いそうです。中には2〜3時間滞在する方もいらっしゃるのだとか。まさに、のんびりした時間が流れている場になっています。

絵本も充実しています

ただゆっくりしに来ただけの方や、とにかく話を聞いてほしい方、時には椅子にすわってイラストを描いて渡してくれたりする方もいて、少しずつ少しずつ、“人がなんとなーく集まる場”になっているそうです。

そして髙村さん自身がメンタル面から体調を崩した経験を持つため、 店内にはメンタルや身体のケアに関する本が多く置かれているのも特徴。

体調を崩した際に助けられたことから、最初に作ったセルフケアのコーナー

そういった方が本を買いに来られたり、「ちょっと話を聞いてもらいたい」と、おしゃべりをしに来られたりする方も少なくないんだとか。

髙村さん

話したり、人を眺めてたりするのが好きなんです。なのでここが“駄菓子屋のおっさんがいるような空間”になれたらと思ってます。

ここはただ本を買い求めるだけではなく、心安らぐ空間や対話、そして自己を見つめ直すきっかけを求めてさまざまな人々が集まる、そんな優しい場所になっているようです。

店主 髙村さんおすすめの本3選

自身が体を壊したことで見直したのは、自分や家族とのことだけでなく“親との関係”でした。

ご紹介いただく3冊は、そんな自分と向き合うヒントや、親子の関係を見つめ直すきっかけを与えてくれた本たちです。

⚫︎『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』(しんめいP 著、鎌田東二 監修)

髙村さんが「いま一番好きな本」として挙げられた1冊。

著者は東大出身で、結婚に失敗し離婚。さらにその後無職になるというドタバタな人生を歩まれた方。
東洋哲学を扱っており、達磨大師などの有名な人物の話を扱っていますが、書き方が非常に砕けていてネット記事を読んでるような読みやすさが特徴なんだそうです。

⚫︎『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』(フィリッパ・ペリー 著)

今度は髙村さんが「一番こだわっているジャンル」から選ばれた1冊。

「お母さんが癒されないと、子どももしんどい」という観点から、まずはお母さんが癒されること、さらにお母さんのそのまたお母さんも癒されることで、子どもとの関係は良くなっていくということが書かれた本です。

“自身の母親との関係に悩んでいる”というお母さんや“自分ではなく、母と祖母の関係に悩んでいる”という方が結構多く、Slothにはそういったお客さまが来店することもあるんだそうです。

⚫︎『子どもを信じること』(田中茂樹 著、岡田千晶 イラスト)

こちらは子育てバイブル本として、髙村さんの奥様が「擦り切れるほど読んだ」という1冊。

この本から多くのヒントを得た髙村さんは、少しでも気づきのきっかけになればと、こういったテーマの本を見つけては集めていらっしゃいますが、まだまだ少ないんだそうです。

本を買うと“オリジナルのしおり”が付いてきます

本を購入された方には、Slothオリジナルのしおりが付いてきます。
最近では本屋さんでもしおりを付けてくれる機会が減っているので、これは嬉しいアイテム。

ちなみにしおりに書かれたキャッチコピーは、芸術系の高校に通われている息子さんが考えられたもの。
シンプルで心がほぐれる感じがして、とっても素敵です。

第3弾も作成中だということで、楽しみですね。

ひらガール

ヒモ付きのワンポイントがおしゃれでかわいいですね!

マンガも取り揃えています

ドラマを見て揃えたという『ガンニバル』

マンガは主に髙村さんが気に入ったものを揃えていますが、ジャンルが幅広く、惹きつけられるものばかり。

「マンガの新刊ってほとんど大手さんに渡るんですよ」と髙村さん。
この『本なら売るほど』は、5,6回発注をかけて、ようやく手に入れたそうです。

気に入ったマンガは根気よく仕入れられています。

その他にもマニアックなサブカルチャーの本や、ミステリー本のコーナーなど、小さい空間ながらにギュッと詰まった魅力的な本をたくさん取り揃えられています。

来たらきっと、読みたくなる本と出会えるはずです。

髙村さん

先日も50代の方がHIPHOPの本を購入されました。こうして出会ってもらえると嬉しいので、入れてよかったです(笑)

店主 髙村嘉一さんからメッセージ

個人的なおすすめ本『捨てられないTシャツ』を持って一枚。

とにかく“頑張りすぎてる”と思う人は、ここに来てのんびりと過ごしてください。座ったり、本を読んだり、僕と喋ったり。好きなように過ごして、気持ちをゆっくりしてもらえたら嬉しいです。

ひらガール

のんびり過ごしたい方はぜひ行ってみてください!

店舗概要

Sloth

住所:枚方市堤町10-24 鍵屋別館201
営業時間:11:00〜18:00
営業日:基本 水・木・土 (不定休あり)
アクセス:京阪枚方公園駅から徒歩約5分
駐車場:近くにコインパーキング有り
駐輪場:有り
Instagram:@sloth_booksss

▼地図ではこちら

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